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Voce d' Angelo レナータ・テバルディに捧ぐ

レナータ・テバルディの専門ブログです。情報、動画、鑑賞録など。

略伝(3) 父との出会い、音楽との出会い

テバルディ 略伝

母ジュゼッピーナは、レナータがもっと物事をよく理解できる年齢になるまで、父親のことを話すまいと考えていました。しかし、レナータは先に、クラスメートの口から真実を知ってしまったのです。

あるクリスマスの前、学校では両親にクリスマス・カードを書くという課題が与えられました。レナータは、当然、母の分しか書きませんでした。しかし、クラスメートは「なぜお父さんに書かないの?」と彼女に尋ねました。レナータは「だって、お父さんは死んだんだもの。」と答えました。ですが、本当の事情は小さな町では知れ渡っていたのです。クラスメートは「それは違うでしょ、生きていて、違う町に住んでるんでしょ!」と事実を告げてしまいました。レナータは必死に抗弁しましたが、おぼろげながら友人の言うことが正しいのではないかと悟ってしまいました。何か恐ろしい秘密が立ち現れたように思えて、レナータが激しく泣き出したため、教師は彼女を帰宅させました。

こうなったら、母達一同はどうしてもテオバルドに連絡を取り、娘に会わせざるを得なくなりました。そして、テオバルドは初めて、娘の前に父親として姿を現したのです。(写真:左、母ジュゼッピーナ、中央、レナータ、右、父テオバルド)

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レナータの思いは複雑だったようです。生まれてこのかた、彼女と寄り添っていたのは母でしたし、病に苦しんでいた間も母は、ずっと親身に付き添ってくれたため、レナータの母への愛は非常に深く、強くなっており、これは終生変わりませんでした。テオバルドの存在は、彼女から見ると、まるで母を自分から奪うライバルのようですらありました。そうかと思えば、すでに教会で歌い、ピアノを弾くことを始めていたレナータは、チェリストの父との音楽に関する語らいの楽しさも味わいました。

しかし、ジュゼッピーナにはジュゼッピーナの、テオバルドに対する絶ちがたい愛がありました。それが彼女を美容整形に向かわせたのですが、手術中の病院の不手際で、彼女の顔面神経は一部誤って切断されてしまいました。却って無表情になって戻ってきた母の姿を見てレナータは医師達の不手際を怒りましたが、もう元に戻すこともかないませんでした。

テオバルドはテオバルドで、パルマですでに10歳年下の女性と新しい生活を始めており、いかに娘のためだからといっても今更ジュゼッピーナとよりを戻すつもりはなく、やがて彼は二人の元を去って行ってしまいました。

第二次世界大戦が始まって、再び出征したテオバルドとジュゼッピーナが生きて再び会うことはもうありませんでした。