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Voce d' Angelo レナータ・テバルディに捧ぐ

レナータ・テバルディの専門ブログです。情報、動画、鑑賞録など。

テバルディ 歌唱論(6)

Q: 経済的な面から見て、歌手はマネージャーを雇うべきでしょうか?

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A: キャリアの間マネージャーを雇うことは安全策として、または雇用主との直接のコンタクトを避けるために賢明なことです。歌っているときでも、私は喜んで歌っていたのですが、ギャラのことでも合意に達しなければなりませんでしたし、私はそういうことは何だか決まり悪く感じました。私のマネージャーは私の条件を知っていて、私のために全部お膳立てしてくれ、ただサインすれば良い状態にしておいてくれました。何かの商品について、のように歌声のことで商売をするのは何だか下品に思えたのです。

いいマネージャーは歌手を、契約上の困難から守ってくれます。国際的に名の知れたマネージャーに任せるのが一番です。そうすれば、歌手は素晴らしい代理人を持ち、素晴らしく守られるし、劇場経営側からよりよく尊重されるからです。

Q: 芸術家というのは迷信的だと言われています。あなたは同意なさいますか?

A: 劇場の雰囲気が歌手を迷信的にするのです。その他の場合は違っていても。よく、知的でない人達が迷信家だと言われます。私はそうは思いません。私の動物のぬいぐるみは幸運のお守りでした。私の親友達がくれた物だからです。私が旅行に出るときはいつも持って行きました。マスコットが入ったバッグを持ってくことの方が、全部の靴が入ったバッグを持って行くことより重要でした。もしそれを無くしたりしたら何という惨事でしょう!「周知の事実」は、『運命の力』は不運を招くということでした。レナード・ウォーレンが『運命・・・』の最中に亡くなったとき、それを皆思い出しました。他の助言は、歌手はまず右足から舞台に入らなければならないというものでした。私は毎朝ベッドから起きるとき、同じように私のスリッパに足を入れなければなりませんでした。

Q: どんな要因であなたは舞台から早く引退なさったのですか?

A: 続けようと思えば、オペラの舞台ではなくて、コンサートで歌うことができました。コンサートはとても好きだったのですけれど、体調不良が起きてきたので。私は歌曲を歌うのがとても楽しかったのです。すぐに歌の中のドラマを感じられました。それぞれの曲が皆違う現れ方をするのです。私は遅かれ早かれ決心しなければならないと知っていましたし、「丁度良い今の方が、タイミングの悪いもっと後よりいいでしょう」と思ったんです。私の決心は正しかったようです。勿論、この決断は大きな苦痛を伴いましたから、神様がそれを克服するために私に大変な力をお与え下さいました。私はあまり野心的な方ではなかったのです。私は聴衆のことを気に掛けていましたし、皆さんの評価も気になりました。私が歌うのを辞めたとき、私の中の「歌う人間」としての存在が消えたのを感じました。

Q: あなたは教えることに専念なさろうとお考えになったことはありますか?

A: 昔は教えようと考えたことは全くありませんでした。オファーは沢山あったんですけれど。ですが、数年前、シカゴのベルカント協会がブッセートへ18人の生徒を派遣してきて、カルロ・ベルゴンツィが教えることになっていたとき、私は彼と一緒に教えるように勧誘を受けました。私たちは長年の友人でしたから、これを受ければ彼が喜ぶと知っていましたので、同意しました。私はそれだけでなく、教えるということが私にとってどういう意味を持つのか知りたかったのです。私はその経験がエキサイティングで感動的であることを知りました。私は私の考えや感情を生徒に伝えることに完全に没入したんです。私は歌いはしませんでした。そうではなく、助言したのです。私は生徒達に歌うように頼み、それから皆がやっていることを評価しました。

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私は全くトレーニングを受けたことのない初心者達を教えなければならないとしたら不安になります。少しばかり、恐怖に取り憑かれていたのです。もし私が生徒の声を理解せず、結果として間違った道に導いて駄目にしてしまうのではないかという。私はブッセートでのセミナーを楽しみました。長年人生を歌に捧げてきた後、リラックスする時期を経た後で、私は3週間、ザルツブルグのアカデミア・モーツァルティアーナのマスター・クラスで教えることに同意しました。生徒達は注意深く選抜されているはずでしたが、彼らは十分に練習していませんでした。私は何かしらの進歩を遂げさせるためにものすごくエネルギーが必要だったのでとても疲れて、気が滅入りました。私は12人の生徒に1時間のレッスンをしました。私は生徒が別の時間に歌う経験ができるよう、クラスを変えました。ザルツブルグにいるのは楽しかったですよ、町中音楽であふれていましたから!

私は歌手が新しい役を準備する間私の助言を仰ぎに来たら喜んで応じます。私は今ヨーロッパで歌っている若い歌手達を教えました。私は生徒達の抱える問題に愛情を持って関わることができるようになりました。緊密に絆が結ばれることもあれば、それで消耗することもあります。


(完)

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次回は、テバルディは実際、ステージでどのような役をどれほど歌ったのか、Cronologiaに基づいた一覧をご紹介します。