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Voce d' Angelo レナータ・テバルディに捧ぐ

レナータ・テバルディの専門ブログです。情報、動画、鑑賞録など。

緊急特集 1946年 ミラノ・スカラ座再開コンサートからの音源

LIVE リサイタル

順当に進めるなら、次は1951年スタジオ録音の『蝶々夫人』の音源からのご紹介、となるところでしたが、一項だけ緊急にご紹介する音源が出て参りました。

1946年、かの有名なミラノ・スカラ座再開コンサートの中から、テバルディが出演した二曲のご紹介です。

この音源については、昔、中古でCDが販売されているのを見付けたのですが、その時は買い渋ってしまいました。どのみち、1時間50分近いコンサートのうち、テバルディが出演させてもらえたのは、ロッシーニの『モゼ』第四幕からの"Preghiera"「祈り」と、ヴェルディの聖歌四篇の中の"Te Deum"だけだった、ということはまえから知っていたからです。

音質も大変悪いというようなレビューを読んだ記憶があり、とうとう買わないままためらっていた(何せ、中古なのでまたしても恐るべき金額がついていた、という記憶があります。)1万円以内なら、今なら買ってしまったでしょう。でも、その時は踏み切れませんでした。もっと高かったからか、音質を気にしたからか、その時の自分の判断理由は覚えていません。

とにかく、これで買い逃したため、とうとう二度と中古は発見できずじまいでした。YouTubeでも音源が探せませんでした。理由は、動画を作った今はわかります。出番がこれだけじゃ・・・動画でご紹介するのもな・・・と渋る動画主が多いのでしょう。

ですが、私のブログは何せ「テバルディ専門」を謳っていますから、これはどうしてもご紹介しなければ、と決めたのです。

私はこの音源をCDで入手したわけではありません。某英国のCDショップから、ダウンロードで二曲だけ購入したのです。音質はMP3とFLACの二種類選べて、FLACだと値段が上がる(CDに近い音質になるので)のですが、当然FLACで購入しました。それでも470円!!!

このショップで買い物をするには、英語が読めた方が無難です。また、問題が発生したら自分で英文のメールを送って通信し合う必要があります(電話で英会話できる方ならその必要も無いですが、時差があるので辛いですよ?)。もし、それでもこのショップを是非ご利用なさりたいなら、コメントを下されば、きりの良いところでそのご紹介記事を組ませて頂きます。

また、前置きが長くなりました。早速音源のご紹介に参ります。

1. ロッシーニ 『モゼ』 第四幕から "Preghiera"

 

ここでテバルディが任されたのはAmaide(アマイーデ)の役です。このオペラのことは正直、知りません・・・。どちらにせよ、聖書にある、エジプトで捕囚の身にあったイスラエルの民が、モーゼの導きでエジプトを脱出する例の話に、脚色が加わったストーリーのものらしいです。

この部分は、モーゼが紅海を杖で撃つと、パカーンと水が割れて道ができ、イスラエルの民がそこを通ってエジプトを脱出する、その直前の場面に歌われるということです。

そもそも、ソリスト(メゾは・・・しかも完全に添え物で、他のソリストと合唱が合流するときしか歌わないので、目立てません)ソロでは各歌手4フレーズずつしか歌わないので(合唱部分は一緒に歌っています)出番がほとんど無い・・・。

指揮がトスカニーニなのは今更申し上げるまでもないですね。モゼはバスのタンクレーディ・パゼーロ(どちらかというと戦前の歌手です)、エリゼーロはテノールのジョヴァンニ・マリピエーロ(この方も戦前からの歌手です)、マリーアはメゾソプラノのヨランダ・ガルディーノ(この方、後でご紹介する1953年の『ラ・ヴァッリー』のライブでアフラの役を担当している人です。)そして、テバルディ、というメンバー。

音は、ショップのサイトで試聴できましたから、「そんなに悪いとも言えないみたい」と思ったので購入した・・・けれど、肝心のテバルディの出番の直前からプチプチノイズが・・・。それでも、ノイズを抑えすぎると肝心の音まで消えかねないので、歌手の声が極力前に出るように調整し、音量レベルのアップをはかりました。それでも、こんなものです。ご了承を。

スコアについては、ほとんどレガートで、キツい高音もなく、テバルディには、苦労するような箇所のほとんどないものです。ただ、"pace almen"などに16分音符の三連符のような細かいパッセージがついていますが、その通り歌っていないようですけれど・・・。(トスカニーニはこれでいい、と言ったんでしょうかね?)お祈りの歌ですから、優しく、清らかに、かつ、熱を込めて歌えばよいわけで、却って変な表現を付けるようなことは慎んだ方が好もしいですね。

彼女にしては声が強烈に響いてくるわけではないですが、前記のようなわけで、他のソリストより突出して目立つのは却って良くない。これで十分でしょう。少し気になったのは、"e farmaco soave"の"soave"で少々声がうわずり気味なこと。その他も、2点ハ音以上を出すところに来ると、うわずって聞こえます。さすがにまだ24歳の彼女には(たとえ出番がほとんどないといっても)ちょっとプレッシャーが大きかったのかもしれません。何しろ、ここで歌っているのはまだ無名の一ソプラノとしてのテバルディで、私達の知っている、大プリマ、レナータ・テバルディではないのです。

国家を代表するオペラハウスの再開(劇場自体は戦時中の爆撃で崩壊していて、工事中でしたが)記念コンサートでいきなり歌え、と言われたら・・・。(しかも、ラジオで全国放送されていました)いくらリハーサル中に大指揮者から『天使の声』なんてお褒めの言葉を頂いても、膝がガクガクしそうな舞台です。(私なら、逃げます)駆け出しの歌手としては仕方なかったかな、と。


2. ヴェルディ 聖歌四篇より"Te Deum"

 

これに関しては、以前、略伝の間違いについての謝罪記事の中で、テバルディの歌うべき部分のスコア画像をお見せしましたが、またお目にかけます。

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一応、ここだけ・・・。というわけで、14分近くある長い動画ですが、彼女の歌う部分はあっさり終わってしまいます。こちらは、特に音をいじらず、ノイズも削除しませんでした。音量レベルを上げただけ。声を前に出そうとして特定の周波数を増強すると、テバルディの入りの前のトランペットの音が異常に大きく響いて、耳が痛いくらいになってしまうからです。

別にピアニッシモという指示は出ていませんが、ここはどの歌手も抑えた声で、トランペットの音を拾うように歌うのが常ですから・・・歌詞も特にどうと言うこともない、前の繰り返しです。

歌っているのは2点ホ♯、ひたすら、2点ホ♯だけ。これで『天使の声』を出しなさい、という大マエストロのご注文を頂いてしまったのですから、えらいことです。他にもある、ソリストが歌う部分はまるで歌わなかったんだろうか?記録がないので、何とも申し上げられません。

まあ、こういう機会でもないと、この曲を全部お聞きになることもないかも知れませんから、テバルディとしては「おまけ」のような出番ではありますが、曲を楽しんで頂くのも良いかと。勿論、全部聞くのはウザい、という方は、テバルディの出番の部分まで飛ばして、そこだけ(13分30秒くらいから)お聞きになっても構いません。

うがった解釈をすると、「超完璧主義者」のトスカニーニは、たったこれだけの出番でも、当時望みうる最高の歌手に任せたかったから、わざわざオーディションで選抜するということをしたのでしょうね。結果、選ばれたのはテバルディ。

「これだけ」だということにガッカリなさった方の方が多かろう、とは予想できます。ですが、テバルディにとっては特別な記録なので・・・。出来不出来は置いておいて、ファンとしてはこれを聞いておくのはMUSTだと思います。

そうそう、ひとつ、ご説明の必要なことが。このような宗教音楽は歌詞がラテン語であることが多いです。ラテン語は現在使われていない、古い言葉ですから、私は擬古文調で訳すようにしています。完璧な日本語の古文にしてしまうと意味不明(私自身、平安時代の文学などは、原文のままではさっぱり???ですので)になりますし、どうせ、私には書けません。かと言って、口語で訳してしまうと、古めかしい感じや厳かな感じが出ない。ですから、こういう訳し方をするのです。お若い方には「?」な訳かも知れませんね・・・。訳文の訳文が必要だったり・・・。


急遽、特集させて頂きました。次回はすんなり、『蝶々夫人』のシリーズをすすめます。

 

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